日旅マレーシア ソリューションビジネスセンター 月刊レター【Vol.32】

月刊レポート

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皆様、こんにちは。
日旅マレーシア ソリューションビジネスセンター(以下、NTA MSBC)です。

毎月弊センターより、マレーシア現地最新情報や、NTA MSBCでの取り組みについてご紹介いたします。

1. NTA MSBCでは何ができる?その32:現地事情調査 – 各州の特徴と魅力発信【ネグリ・センビラン州編】

マレーシアは大型観光キャンペーン「Visit Malaysia 2026」を掲げ、アジアにおける観光・教育拠点としての国際的な注目度が高まっています。

その中でも、首都クアラルンプールの南隣部に位置するネグリ・センビラン(Negeri Sembilan)は、独自の文化と穏やかな街並み、美しいビーチエリアを持つ州です。マレーシアの他州とは一線を画す母系社会文化や伝統建築が今なお見られるほか、首都圏やクアラルンプール国際空港(KLIA)からのアクセスが非常によく、日本人留学生も多い大学街や、日帰り・週末のショートトリップ先としても人気が高いです。

今回のレポートでは、ネグリ・センビラン州の文化やリゾート地として親しまれる沿岸エリアなど、日本人の間ではあまり知られていない魅力を紹介いたします!

今月の特集「各州の特徴と魅力発信【ネグリ・センビラン州編】」

■ 地域の基本構造を知る

ネグリ・センビラン州は、マレー半島南西部に位置し、北をセランゴール州とパハン州、南をマラッカ州とジョホール州に接しています。大きく分けて、

・インティ(INTI)国際大学などを擁し、日本をはじめ世界中から留学生が集まる北部の大学街ニライ
・州都セレンバンを中心に伝統文化や行政機能が集積する中央・内陸エリア
・マレーシア有数のビーチリゾートとして知られるポートディクソン(Port Dickson)を擁する沿岸エリア
・ペダン川やガンパス山など手つかずの自然と先住民文化が残る東部・山岳エリア

の4つで構成されています。コンパクトな州域ながら、文化、ビーチリゾート、教育・・・など、多様な魅力がございます。

◎ 人口・面積
・人口:約120万人(2020年国勢調査)
・面積:約6,686㎢(群馬県や茨城県とほぼ同じ大きさ)
マレー半島の中では比較的小さな州ですが、首都圏(クランバレー)に隣接しているためベッドタウンとしても発展しており、適度な都市機能とのどかな雰囲気が調和しています。

◎ 民族構造
・マレー系:約60%
・中華系:約21%
・インド系:約14%
・先住民族(オラン・アスリ)およびその他:約5%
マレー系が過半数を占めますが、かつて鉱山開発や港湾労働で移住してきた中華系・インド系コミュニティも暮らしており、多文化が融合しています。また、マレー系住民の多くがスマトラ島ミナンカバウからの移民をルーツに持っています。

◎ 宗教構造
・イスラム教、仏教、ヒンドゥー教、キリスト教など
全国的な傾向と同様にイスラム教が主流ですが、セレンバン市内などでは中国寺院やヒンドゥー教寺院、キリスト教会が点在し、各民族の信仰が共存しています。

◎ 使用言語
・公用語:マレー語
・日常会話:マレー語(ネグリ・センビラン方言/ミナンカバウ語の影響を受けた方言)、英語、中国語(マンダリン、客家語など)、タミル語
当地のマレー語はミナンカバウ語の強い影響を受けており、語尾のニュアンスや独特の語彙を持つ方言として知られています。

◎ 気候
・熱帯雨林気候(年間平均気温:約27~32℃)
・大きな山脈の影になるため、東海岸ほど強いモノスーンの影響は受けにくいものの、10月〜12月頃にかけて雨量が増加します。沿岸のポートディクソンは年間を通じてマリンアクティビティに適した気候です。

◎ 交通・アクセス
・クアラルンプール(KL)市内から州都セレンバンまで車で約1時間、ポートディクソンまで約1時間半。
・クアラルンプール国際空港(KLIA)からは車でわずか30〜40分程度の距離にあり、マレーシア国外からのアクセスも抜群。
・マレー鉄道(KTMコミューター)がKL市内とセレンバンを結んでおり、公共交通機関での移動も容易です。

◎ 経済・産業構造
・製造業・電気電子産業(セレンバンやセナワンの工業団地)
・観光業(ポートディクソンのリゾート等)
・農業(パーム油、ゴム、フルーツ栽培)
首都圏に近い立地を生かした工業化が進んでいる一方、沿岸部のポートディクソンは国内有数のビーチリゾートとして観光業が経済の大きな柱となっています。また、郊外ではパーム油やゴムの農園が広がっています。

◎ 小噺:パハン(Pahang)の名の由来と歩み
「ネグリ・センビラン」という名前は、マレー語で「9つの州(Negeri=州、Sembilan=9)」を意味します。これはかつて、この地域に存在した9つの小さな部族共同体(ムキム/領地)が連合したことに由来しています。
この州の歴史と文化を語る上で欠かせないのが、14世紀以降にインドネシアのスマトラ島西部のミナンカバウ地方から海を渡ってきた移住者たちの存在です。彼らはこの地に定住し、独自の伝統や生活様式をもち込みました。その最大の特徴が、マレーシアで唯一となる「母系社会(アダット・ペパティ / Adat Perpatih)」の風習です。財産や土地の所有権が母親から娘へと継承され、家系の血統も女性側をたどるという全国でも極めて珍しい社会構造が、現在も一部の地域で受け継がれています。
また、ネグ・センビランの建築を際立たせているのが、水牛の角のように両端が鋭く反り上がった屋根のスタイル(ルマー・ガダン風デザイン)です。州立博物館や王都スリ・メナンティ(Seri Menanti)にある木造の旧王宮(Istana Seri Menanti)は、釘を一切使わずに建てられた伝統建築の最高峰であり、この地の歴史と職人技の深さを物語っています。
19世紀に入ると、錫鉱山の開発をめぐる地元首長間の争いにイギリスが介入し、1895年に「ネグリ・センビラン連合」としてイギリスの保護領(のちのマレー連合州)に組み込まれました。第二次世界大戦中の日本軍占領期を経て、独立後はマレーシアの1州となりました。
ネグリ・センビラン州の国王(ヤン・ディペルトゥアン・ベサール)は、他州のような血統による世襲制ではなく、伝統的な4人の首長(ウンドゥ)による選出制というユニークなシステムを今も守り続けています。近代的な都市開発とリゾート開発が進む一方で、伝統と多様性を重んじる温かな風土が引き継がれ続けています。

 

■ おすすめ観光先・訪問先7選

絶対に訪れたいネグリ・センビラン州の厳選おすすめスポット7選をご紹介します!

(1) ネグリ・センビラン州立博物館(Muzium Negeri Sembilan)

↑当社職員訪問時に撮影

州都セレンバンにあるネグリ・センビラン州立博物館です。敷地内にはミナンカバウ様式の伝統建築「ルマー・アダット(Rumah Adat)」や、19世紀末に建てられた王族の住居「ルマー・パスタ卡(Istana Ampang Tinggi)」が移築・展示されており、伝統的な木造建築美を間近で見学できます。

💡豆知識
釘を一切使わずに建てられた精巧な木造建築の構造や、州特有の母系社会「アダット・ペパティ」に関する歴史資料が豊富に展示されています。

⚠️注意事項
① 月曜日や祝日の開館時間・休館日にご注意ください。
② 屋内・屋外の展示を巡るため、脱ぎ履きしやすい靴での訪問が便利です。靴下もお忘れずに。
③ 文化施設ですので、落ち着いた服装での見学が推奨されます。

→★ 当社スタッフも実際に訪問しました!
詳しくは日旅マレーシア ソリューションビジネスセンター 月刊レター【Vol.27】からご覧ください。

(2) スリ・センダヤン・モスク(Masjid Sri Sendayan)

Photo by Majlis Keselamatan Negara

セレンバン郊外の新都市バンダール・スリ・センダヤンに位置する、2019年に完成した美しいモスクです。エジプトやトルコなどのイスラム建築からインスピレーションを受けた白亜と金のデザインから、「マレーシアのタージ・マハル」と称されています。彫刻やカリグラフィーが施された礼拝堂の内部は息をのむ美しさです。

💡豆知識
夜間には華やかにライトアップされ、日中とはまた異なる幻想的な姿を見せてくれます。

⚠️注意事項
① イスラム教徒のお祈りの時間(礼拝時間)は観光客の内部見学ができません。
② 宗教施設のため、肌を隠す服装が必須です(女性はスカーフ等の着用が必要)。
③ 静寂を保ち、信者の方々に配慮して見学してください。

(3) 蜈蚣山天师宫(Tokong Then Sze Koon)

↑当社職員訪問時に撮影

セレンバン市街地の小高い丘に位置する、通称「ムカデ寺(Centipede Temple)」として親しまれている中国寺院です。境内のあちこちに鮮やかなムカデの装飾や彫刻が施されており、「境内で本物のムカデに出会えると幸運や金運が訪れる」というユニークな言い伝えがあります。

💡豆知識
丘の頂上からはセレンバンの街並みを一望できる絶景パノラマが広がっています。

⚠️注意事項
① 本堂へ向かうには長めの階段を登るため、歩きやすい靴で訪問してください。
② 日中は日陰が少ないため、日傘や帽子などの日差し対策が必要です。
③ 行事や旧正月(春節)の時期は地元参拝客で混雑します。

→★ 当社スタッフも実際に訪問しました!詳しくは本記事後半をご覧くださいませ。

(4) ジェリタ・ダチョウ・ファーム(Jelita Ostrich Farm)

Photo by Attraction Malaysia

セレンバン郊外にある、ダチョウを中心とした体験型ファームです。広大な敷地内で世界最大級の鳥類であるダチョウと触れ合うことができ、餌やり体験やダチョウの卵の上に立つ体験など、他では味わえないユニークなアクティビティが楽しめます。

💡豆知識
ダチョウのほかにもヤギやウサギなどの動物が飼育されており、お子様連れやカップルに人気の体験スポットです。

⚠️注意事項
① 動物と直接触れ合う機会が多いため、見学後はしっかりと手洗いをしてください。
② 屋外の農園エリアが広いため、帽子や日焼け止めなどの熱中症・日差し対策を忘れずに行いましょう。
③ お子様が近づく際は保護者の方がしっかり付き添うようにしてください。

(5) パンタイ・テルク・ケマン(Pantai Teluk Kemang)

Photo by Majlis Perbandaran Port Dickson

クアラルンプールから最も近いビーチリゾート「ポートディクソン」の中で、最も広く活気のある人気ビーチです。黄金色の砂浜が続き、バナナボートやジェットスキーなどのマリンアクティビティが充実しているほか、沿道には屋台やナイトマーケットが立ち並びます。

💡豆知識
首都圏から車でわずか1時間半でアクセスできるため、KL市民の週末の憩いの場として絶大な人気を誇ります。

⚠️注意事項
① 週末や連休期間は周辺道路や駐車場が大変混雑します。
② マリンスポーツを楽しむ際は必ず救命胴衣を着用してください。
③ 日差しと照り返しが強いため、日焼け止めやサングラスを忘れずにご用意ください。

(6) ポートディクソン陸軍博物館(Army Museum Port Dickson)

Photo by Lexis Hibiscus Port Dickson

軍事基地の隣に位置する、マレーシア陸軍の歴史を学べる国内最大級のミリタリーミュージアムです。広大な屋外エリアには、実際に使用されていた戦車、装甲車、戦闘機やヘリコプターなどが多数展示されており、間近で見学することができます。

💡豆知識
入館料が無料でありながら非常に充実した展示内容となっており、ファミリー層や歴史好きに大人気のスポットです。

⚠️注意事項
① 月曜日と火曜日は休館日です(祝日を除く)。
② 屋外展示エリアが広いため、帽子や水分補給などの熱中症対策をして見学しましょう。
③ 館内一部エリアでは写真撮影が制限されている場合があります。

(7) ケープ・ラチャド灯台(Cape Rachado Lighthouse)

ポートディクソン最南端のタンジュン・トゥアン森林保護区に位置する白亜の灯台です。16世紀のポルトガル統治時代に起源を持つとされ、マレーシアで最も古い灯台の一つです。緑豊かなジャングルトレイルを抜けた先に建ち、マラッカ海峡を一望する絶景が広がります。

💡豆知識
野鳥の観測拠点としても有名で、毎年春(3月〜4月)には渡り鳥(タカやワシ)の観察地として世界中からファンが集まります。

⚠️注意事項
① 保護区入口から灯台までは舗装された坂道を20分ほど登るため、歩きやすい靴を着用してください。
② 灯台内部自体は通常非公開ですが、周辺の展望台からの景色を楽しめます。
③ 野生のサルが多く生息しているため、食べ物や袋を持ち歩く際は注意してください。

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今回ご紹介したのは、独自のミナンカバウ文化や歴史を持つセレンバン周辺の見どころから、美しいモスク、大人から子供まで楽しめる体験型スポット、そしてマラッカ海峡を一望するポートディクソン沿岸部の絶景までを含むエリアの魅力です。ネグリ・センビラン州の魅力はこれだけにとどまらず、大学街として発展する北部のニライエリアや、手つかずの大自然が広がる東部の山脈・洞窟探検エリアなど、見どころがまだまだ眠っています。
首都クアラルンプールや空港からのアクセスも抜群なネグリ・センビラン州へ、ぜひ一足伸ばして多様な文化とリゾートの風を感じてみてはいかがでしょうか。本レポートが、訪問の際の参考になりましたら幸いです。


2. NTA MSBC活動レポート:セレンバンの街を一望するパワースポット 『Tokong Then Sze Koon(蜈蚣山天师宫)』 訪問レポート

今月は、クアラルンプールから車で約1時間の距離に位置する、ネグリ・センビラン州の州都・セレンバンにあるユニークな道教寺院をご紹介します。首都圏近郊でありながら穏やかな時間が流れるセレンバンですが、ここには他州とは異なる独自の文化や見どころが点在しています。

そんなセレンバンの街を見下ろす小高い丘に位置し、地元の人々から深く信仰されているパワースポットが、「Tokong Then Sze Koon(天師宮 / 通称:ムカデ寺)」です。160年以上の歴史を誇るこの寺院は、色彩豊かな中国文化の空間と、「境内でムカデに出会うと幸運が訪れる」というユニークな言い伝えで知られています。

本記事では、実際に施設を訪れたスタッフの体験をもとに、寺院の見どころや魅力をご紹介します。

📍 今回ご紹介する場所
Tokong Then Sze Koon(天師宮 / Centipede Temple)
(マレーシア・ネグリ・センビラン州)

【1】施設概要
Tokong Then Sze Koon(蜈蚣山天师宫)は、1864年に創建されたセレンバンで最も歴史のある道教寺院のひとつで、セレンバン市街地の北東に位置する「チャン・ヒール(Bukit Jong)」という小高い丘の上に建てられています。
本尊である道教の神様「張天師」を祀っているほか、境内には観音菩薩や孫悟空(斉天大聖)、巨大な九龍像など、数多くの神々の像が立ち並んでいます。多角的な文化が共存するマレーシアにおいて、中華系コミュニティの信仰と歴史を今に伝える貴重な文化スポットとなっています。
また、地元では「Centipede Temple(ムカデ寺)」の愛称で親しまれており、境内に現れるムカデにまつわる伝説や幸運の言い伝えがあることでも大変有名です。

鳥居をくぐり、鮮やかな中華装飾で彩られた100段以上の石段を上っていくと、本堂や各参拝エリア、そしてセレンバン市内を一望できる景勝地へとつながっています。境内はいくつかのエリアに分かれており、線香の香りが心地よく漂う本堂で参拝をしたり、個性豊かな神々の像やモニュメントを巡りながら散策を楽しむことができます。

特に目を引くのが、境内の中腹に設置された全長約3.6mの巨大な「赤いムカデの像」です。この地域には「かつて親不孝な若者が神の罰を受けてムカデに変えられた」という民話や、「境内で白や珍しいムカデを見かけると金運や幸運が訪れる」という言い伝えがあり、今でも多くの参拝客が幸運を願って写真を納めていきます。

最上部の展望エリアまで上りきると、セレンバンの街並みと周囲の豊かな緑が広がるパノラマビューを楽しむことができます。風が心地よく抜けるこの場所は、参拝客だけでなく地元の写真撮影スポットとしても愛されています。

↑ 丘の頂上から見下ろすセレンバンの街並み
訪問日はヘイズのため曇っておりましたが、晴れている日は景色がきれいです

【2】参拝料・見学情報(参考)
拝観料(入場料):無料(寄付・お線香代は任意)
※ 駐車場代:無料(敷地内に駐車スペースあり)
※ 拝観可能時間:8:00〜18:00頃(時期や行事により変更の可能性があります)

【3】訪問を通じて感じたこと
セレンバンはクアラルンプールから車で1時間ほどとアクセスしやすく、日帰りで気軽に訪れることができるエリアです。今回訪問した天師宮は、階段を上るため少し汗をかきますが、頂上に到着した際の爽快感と素晴らしい眺望は一見の価値があります。色鮮やかな建造物やユニークなムカデの伝承など、一般的な観光名所とは一味違うローカルなパワースポットを楽しめました。

クアラルンプールなどの都市部で日々慌ただしく過ごしていると、時にふっと息抜きをしたくなる瞬間があります。そんな時、少し郊外へ足を延ばしてこうしたパワースポットを訪れ、地域の歴史や教えに触れつつ、心地よく体を動かして爽快な景色を眺める時間は、日常の忙しさを忘れさせ、また前を向いて日々の仕事や生活に励むための大きな活力になりました。
首都圏から少し足を延ばして、マレーシアのローカルな文化や歴史、そして絶景を楽しみたい方にぜひおすすめしたいスポットです。


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